お役立ち情報

当店の店主 有馬司は全国各地を飛び回り、長年に渡って農家さんの支援を行っています。
そんな店主がごはん好きの皆さんにちょっとマニアックなお米のこぼれ話を紹介します。

お米の豆知識

トピック①

田んぼの一大イベント 出穂(しゅっすい)


店主が一年のうちで一番大好きな風景。それは出穂(しゅっすい)の時の田んぼです。
東北地方ではだいたい七月末~八月中旬頃。1本1本の稲に可愛らしい小さな白い花が咲き、本格的に稲穂の成長が始まる心躍る季節です。この時期はいつも出穂の田んぼを見ながら、今年のお米の出来を思い浮かべながらあちこち飛び回っています。

いっせいに出穂する田んぼ、まばらに出穂する田んぼ。両者の違いは稲の生育が均一かどうかということ。お米農家の皆さんは、最適な生育時期に稲刈りをしますが、出穂時期に生育具合にばらつきがあるということは最適な生育具合のお米がある一方で生育しすぎ、もしくは生育が足りないお米が混ざってしまうことになります。

きれいに揃って出穂している田んぼを見ると、あぁ、今年の秋も美味しい新米が食べれるなぁ、と心がホクホク。収穫が待ち遠しくなります。

トピック②

お米農家さんの工夫あれこれ


お米農家さんは美味しいお米を育てるために本当にさまざまな工夫を凝らします。愛媛ではみかんの皮を堆肥に使用したり、山形ではリンゴ酢を田んぼに散布する農家さんもいらっしゃいます。中には甘いお米を作りたいと田んぼに砂糖やハチミツをまいた方もいらっしゃいました。結果は思ったような甘さにはならなかったとのことですが、たゆまない試行錯誤が毎年、日本全国で行われ、美味しいお米がさらに美味しく磨かれています。

店主のお膝元の岩手県にも興味深い取り組みをされているお米農家さんがいらっしゃいます。北上市口内町の菅野良作さんの田んぼではなんと海藻を堆肥に使用し、ミネラル分の高いお米づくりに挑戦しています。海と山の生産者さんが手を合わせて美味しい食物を食卓へ届ける、そんなコラボレーションが岩手県の田んぼでひっそりと繰り広げられています。

トピック③

ゆっくりゆっくり、時間をかけて


お茶碗一杯分のお米を収穫するために約45リットルのお水が使われると言われています。お米で連作障害(同じ土地で続けて同じ作物を作ると発生するトラブル)が起きない大きな理由はたくさんの水を使用する「水田」だからです。

川や用水の水には落ち葉や窒素、リン酸などが含まれており、毎年それらを養分を田んぼにたっぷりと補給することができます。また、土の中に溜まる有害な物質を洗い流したりもしてくれます。他にも土の中の微生物や菌類をコントロールし、酸性から中性へと変化させることで稲が育ちやすい環境を作ってくれています。

大量の水を用いてベストな状態に整えられた土の中、お米は長い月日をかけてじっくりと養分を取り入れながら生育していきます。お米自身のペースを大切に、無理に急かすことなく、状態を見守りながらお世話をされている農家さんを見ていると「あぁ、子育てみたいだなぁ」と感じることもしばしば。

日照時間や温暖な気温に恵まれた地域では生育の早いお米もありますが、店主個人としては豊かな水源のもとでゆっくりゆっくりと時間をかけて育ち、土からたっぷりと養分を吸い込んだ「粒が大きく旨味のある東北のお米」が大好きです。

お米とおかずのマリアージュ

トピック①

“旨味”を決める2種類の「でんぷん質」


お米屋さんの業界でよく耳にする旨味成分、通称 おねば。この「おねば」の度合いを決め、お米の特徴を大きく形づくるものが、「アミロース」と「アミロペクチン」という2つのでんぷん質です。お米は実に70%がこの2種類のでんぷん質で出来ています。

低アミロース米の代表格のミルキークイーン。強い甘みと粘りの強さが特徴的なお米です。ミルキークイーンはコシヒカリをベースに、アミロースの割合を下げることで生まれました。

つまり、アミロースの割合が小さくなるほど粘りの強いお米になるということです。(アミロースがゼロになると「もち米」になります)粘りの度合いは食べる人によって好みが分かれますので、お米選びの大きなポイントのひとつになります。

口ほどけのさっぱりとしたお米の代表格はササニシキ。ミルキークイーンの原型になったコシヒカリやヒトメボレは重すぎず、軽すぎずの「バランス型」。

また、同じ品種でも農家さんによってそれぞれ目指す味や粘り具合がありますので、選択肢はさらに広がります。お米それぞれの個性を楽しんでいただき、お口に合うベストな「まいごはん」を見つけていただけますと幸いです。

トピック②

様々な用途に最適なごはん


どんぶりやチャーハン、定食、おにぎりなどなど、お米の食べ方はたくさんあります。お米大好き、ごはん大好きな店主が考える、用途にぴったりなごはんの特徴を紹介します。(店主の好みも多分に含まれておりますので、ご了承ください)

どんぶり、特に味付けが濃いめのものの場合、店主は“食べ応え”を優先します。お米の繊細な味わいを楽しむというより、お米一粒一粒が大きく食べた時の存在感があることで上に乗るものとの素敵なマリアージュが生まれます。つゆだくのどんぶりがお好きな方もいらっしゃると思いますが、多量のつゆをごはんが吸ってしまい、べちゃべちゃになってしまわないよう、汁は適度の量で楽しんでいただくことをお薦めします。

美味しいチャーハンを楽しむためには粘り気の少ない、さっぱりしたお米を選んでください。粘りの強いお米ではダマができてしまいやすく、パラパラ感を出すのはなかなか大変です。

用途によってどのお米を選択するかで大きく味わいが変わることもお米の面白さ・奥深さです。イタリアの有名レストランのシェフの間で「美味しいリゾットを作るならこの産地のお米が絶対!」と言われているお米もあります。

お米にはごはんにした時、あるいは調理をした時にあらわれる様々な個性。そんな個性を適材適所で味わっていただけますとお米に関わる一員としてとても嬉しいです。

トピック③

店主のこだわり、あれこれ


魚料理はお刺身に醤油、焼き魚など塩分が多くなりますので、お米の味がしっかりと舌で感じられます。やや甘めでしっかりとした味のお米が店主のおすすめです。

お弁当などに使われるごはんは冷めても美味しいお米を選ばれるのが良いでしょう。水持ちが良いお米は冷めてももっちり感とお米の旨味を保持するので最適です。

かためのごはんがお好きな方はおにぎりを作る際は特にねばりがあり、水持ちの良いお米を選ばれることをお薦めします。ササニシキのようにねばりの少ないお米をかために炊いておにぎりにしてしまうと、冷めた時に水分の少ないパサパサな食べ心地になってしまいます。店主は水々しく、のどごし良いおにぎりが大好物です。

また、炊き上がりのかため、やわかめの好みの方もいらっしゃるかと思いますが、そのお米の持ち味を一番味わえるお米と水の配分で炊いていただくことをお勧めしています。